書面による死因贈与を取り消す(撤回する)ことはできますか?

死因贈与の取消し(撤回)について、以下まとめてみます。

1.書面によらない死因贈与について

書面によらない(口頭で契約した)贈与については、履行が終わらない限り※、各当事者がこれを取り消す(撤回する)ことができる旨の規定があります(民法550条)。

※「履行が終わる」とは、贈与者が負担した債務の主要な部分を履行することであると考えられています。
つまり、贈与の目的物の引渡しがあれば履行を終わったとみられるべきであるとされますが、特に不動産については下記のように考えられています。

  • 未だ登記がなくとも占有の移転があったものとみられる限り、履行が終わったものとされる(最判昭31.1.27、最判昭39.5.26)
  • 所有権移転登記がなされたときは、引渡しの有無を問わず履行を終わったものとされる(最判昭40.3.26)。

2.書面によってなされた死因贈与について

死因贈与には遺贈の規定が、その性質に反しない限り準用されるとされている(民法554条)ため、書面によってなされた死因贈与にも民法1022条がその方式に関する部分を除いて※準用されることになります(最判昭47.5.25)。
つまり、書面による死因贈与であっても、遺言の方式によることなく自由な撤回が可能であるとされています。

※「その方式に関する部分を除いて」とは、(死因贈与の実体が贈与契約である以上、)撤回が遺言の方式によってなされる必要はない、ということです。

3.自由な撤回が認められないケース

但し、負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が、生前に負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、特段の事情のない限り、民法1022条の準用は認められず、死因贈与の自由な撤回は認められないとされています(最判昭57.4.30)。

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